空いた両手がふさがらない

カフェインで目を醒まし、アルコールで眠る

ゴールド免許、テート美術館展、引っ越し

 買い物がてら新宿都庁で運転免許を更新した。手数料の支払いがキャッシュレスであることに感激した。はがきが届かず一度失効した経緯があり、今回でようやくゴールド免許になった。講習時間が短くて助かったし、写真もいい感じに撮ってもらえた。場所柄、日常的に運転する人などほとんどいない集団なのであろう、流れるように更新できた。帰りに都庁の入館証を申し込んで、都庁の食堂でご昼ごはんを食べた。心なしか働く人たちが生き生きしており、ドラマにでも出てくるユートピアのような建物だった。ついでに外国人観光客に囲まれて展望台に登り、新宿を一望しておいた。

 国立新美術館でテート美術館展をみた。「光」をテーマに時代も作風もばらばらで、印象派の絵画から前衛的な現代アートまで並ぶ展示で飽きなかった。ほとんどの作品で撮影が許可されていた。いつか観たことのある、ハマスホイやリヒターの絵も見かけた。リヒターの壁画の前にベンチがあってしばらく腰掛けた。非常に満足した。

 1年半余りで前の部屋から引っ越した。急遽いまの職場に入ることが決まり、時間的余裕がなく仮住まいと思って決めた部屋だった。狭いワンルームでキッチンが機能しないことが嫌で、試してみたい家具の配置ができるスペースもなかった。ワンルームでは本当に気が向いたとき、簡単な料理しか作る気が起きなかった。外食も多かったし、閉塞感から浪費も多かった。安めの家賃ではあったと思うが、トータルだと広い部屋に住むのと変わらない生活費になってしまっていたのではなかろうか。引っ越しの初期費用はたしかに高額ではあるが、いつか終の住処を購入することがあるかもしれない。いろいろな場所のいろいろな部屋を比較対象として経験しておくべきである。6月くらいから内見をはじめた。OHEYAGOという手続きがほとんどオンラインチャットで済む、便利な仲介会社を使った。旧居の解約予告が2ヶ月前の規約で家賃が重なる無駄は生じてしまったが、気に入った物件であったし、かえって時間的余裕のある引っ越しになったという点がよかった。引っ越し業者をぎりぎりまで決めかねたが、過去にも使ったことのあるサカイに頼んだ。閑散期なのもあってか見積もりなし、オンライン申し込みで予約できた。

 新しい部屋は1Kを借りた。体感では3/4倍くらい広く感じる。前の住居の荷物をそのまま運び込んだ。段ボールをすべて開封してもまだ部屋には余裕があった。唯一の難点はクローゼットが小さいことである。家具が少ないので、コンテナを出してみせる収納にした。転居を機にマットレスを新調した。サイズもシングルからセミダブルに変え、コアラマットレスという流行りのメーカーでウレタン素材のマットレスを買った。なるほど、開封するとコアラのマスコット人形が入っていた。そういうプラセボ効果なのかもしれないが、新しいマットレスで寝るようになってから、寝起きの体が信じられないくらい軽くなった。以前は8時間しっかり寝ても、体がばきばきであったり、眠気が強かったりしたものだった。いまは目覚ましが鳴る前に目覚められたり、定時を過ぎても買い物に行く元気があったりする。Aesopのハンドソープを買った。ハンドソープとしては高額なのかもしれない。帰宅して手を洗っていい香りがするとリラックスに関しての費用対効果が高い。

 可塑性のある部屋を目指している。可塑性があるとは、模様替えをしたくなったり引っ越したくなったとき、ひとりで簡単に配置が変えられたり、解体できたりすることを言う。小さい箱をたくさん集めると大きい棚に匹敵する収納になる。引っ越しで忙しくしているとき、誕生日を迎えていた。誕生日は普段通り仕事で、残業になった。今年はケーキを買うこともなく、なんとなくいつも行くbarで生まれ年のラム酒を飲むくらいの平凡な過ごし方だった。

 同時に、可塑性のある人生にしたいと思う。いつでも次の職場や新天地に旅立つ可能性がある。

テート美術館展