空いた両手がふさがらない

カフェインで目を醒まし、アルコールで眠る

脱人格化を使い分ける

 たまたま丸の内に用事があり、丸の内支店のUFJ銀行でピン札を両替した。平日なのにもかかわらず待たされたが、館内の広々とした感じとか椅子の雰囲気が映像作品のロケにでも出てきそうだなと思った。八重洲口付近のたまに寄る純喫茶でシナモントーストを食べた。数年前に買ったUNIQLOカッターシャツしか持っておらず、久しぶりに広げてみたらみすぼらしくみえた。ここ最近、冠婚葬祭がなかったので出す機会もなかった。先日、大学の同級生の結婚式に出かけた。裕福な由緒正しい家柄の同級生だった。山内マリコの小説に出てきそうな、正解の人生を集大成したような間違いのない式だった。料理や引き出物が洗練されていたし、参加者にも品があった。久しぶりに会った同級生と近況を話すことができた。
 パラブーツのシャンボードの丸い靴紐が切れて、応急処置として平紐を通していたが思いのほか似合う。無印良品で廃盤、現品処分で安くなっていたスタンドミラーを買った。最近、いまさらであるが、ゆるいシルエットの良さがわかるようになってきた。なんとなくタイトな服ばかり着ていたが、オーバーサイズだと貧相な体型が隠れていいことに気づく。
 外出中、イヤホンの着脱を繰り返しているといつか紛失しそうになる。マーシャルのワイヤレスヘッドフォンを買った。開放型でノイズキャンセリングはないし、イコライザもないし、機能は必要最低限だが、音は好み。むしろ開放型なので自然な音が聴こえる。側圧が低めなので装着していて疲れない、デザインが良いので外して首にかけていて恥ずかしくない。
 上野の森美術館のモネ展に行った。連作、特に晩年の絵が良かった。国立新美術館イヴ・サンローラン展に行った。流行、オマージュを取り入れながらも思想、スタイルが徹底した一貫したデザインに魂を感じた。
 脱人格化を使い分けることが感情労働を乗り切るコツな気がする。相変わらず報連相が電話やファックスで成立する業界にいる。人の手を止めてまで繋がらない、話した証拠が残らない電話で重要だけど急がない案件を伝達する意味がいまどきあるのだろうか。

 

モネ展