土曜に外出する

 最近は朝が冷えているようだ。二度寝から醒めて、時計を見やると10時も半ばだった。雲が垂れ込んでいて小雨も降っていたが、出かけることに決めた。リュックに、いつもの持ち物を、手早く放り込む。上は黒のボートネックのプルオーバー、下はカーキのパンツに着替えつつ、上着を何にするか考える。グレーのジャケットにするか、黒のレザーブルゾンにするか迷って、後者を手にとった。香水はGIVANCYのπをつけた。πはいつも外出するときにつけるので、つけると外出する気分になってくる。髪をポリッシュオイルでまとめ、プレーントゥの革靴を履いて出発した。自転車に乗り、小雨のなか最寄り駅へ着いた。と同時に、用意した水筒を自宅に忘れたことに気づく。悔いても仕方ないので、ペットボトルのお茶を購入する。乗り換えを経て、新宿に着いた。いつもの、御苑近くにある個人のセレクトショップへ寄り、予定通りにチャコールグレーのベストを手に取る。サイズ感にやや迷ったが、店主と相談してSサイズを手に入れた。お店を出る頃に、知人に連絡をとると、ちょうど暇であるとのことだった。秋葉原で落ち合って、茶をしばくことに決めた。ベストは、お店で袋を省いてもらって手に持っていた、それをリュックにまるめて詰め込んだ。軽い足取りで新宿線に乗り込み、地下鉄で秋葉原付近まで移動した。昼どきである。ケバブを食べて昼は簡単に済ませるつもりであったが、通りがかったバーガーキングの広告があまりに美味しそうだったので、店にぎゅっと吸い込まれる。休日の人であまりに混んでいる店内で、ハンバーガーのセットを食した。ゆっくりできる空気感ではなく、何かに急かされるようにそそくさと退店する。そのまま秋葉原を散策しつつ、知人とは喫茶店で落ち合った。ここもまた、ありえないほど盛況の喫茶店では、忙しそうな独りのマスターがヒリついている様子が、容易に見て取れる。喫茶店では、浅煎りの珈琲を啜りながら、知人と他愛もない会話をした。知人は同郷の、いまはフリーターの人であるが、今年中に地元に帰って就職するとのことである。席待ちの人が増えてきたところで、支払いを済ませて席を立った。知人が、帰りにゲームセンターに寄るというので、ついて行くことにした。ひとしきり知人がプレーする格闘ゲームを眺めたあとは、別れて、人でごみごみした家電量販店を冷やかしに行く。そのうちに、帰りの電車に乗り込む。最寄り駅では夕食の材料であるところの鶏肉、しめじを手にとって、雲のせいで早い時間なのにすっかり暗くなりつつあるなかを帰宅した。朝から行動していたからだろうか、一日が長い。うちで一息ついているうちに、いま、夜を迎えた。