空いた両手がふさがらない

カフェインで目を醒まし、アルコールで眠る

冬の匂いがした

 浅く息を吸ったとき、冬の匂いがすることが増えてきた。今週は忙しすぎて昼ご飯は食べ損ねたが、定時を少し過ぎて仕事が終わったということはあった。火曜は大学時代の先輩と飲んだ。近況報告していたが、このほど婚約したとのことであった。彼は再受験生であるから、自分よりひとまわり歳上なので、同年代の中ではやや遅いほうなのかもしれない。素直に祝福した。水曜日は有給休暇を取得していたのであった。何をしたというわけではなしに、ラーメンを食べたあとは、行きつけの喫茶店で佇んでいただけなのだった。萌え声のマスターには平日に来ていることを珍しがられた。土曜日は完全な休みだった。日曜は朝から病棟の日直をこなした。17時過ぎに退勤して近所のラーメン屋さんに開店前から並んだ。限定の濃厚な煮干しラーメンと秋刀魚のまかない丼を堪能した。今日は朝から休日回診に参加し、無休でカルテ記載に勤しんだ。日・月で1.5日は出勤しているからして、明確な3連休という感じではなかったと思う。

 働きはじめたら人生は半ば死んだも同然と覚悟していたので、それと比べるならば今はなんとかなっている感じであろうか。給料が安いとか残業代が出ないとかはまだ許せるものの、それに免許が必要か?みたいな雑用をこなしていると頭がおかしくなりそうになる。巨大な組織で個が捨象されることに納得がいかない。裁量がある人間の忙しさと、裁量がない人間の忙しさでは忙しさの重みが違う気がする。自分はさほどメンタルが強いわけではないが、それを補える処理能力がありそうなことがわかってきた気がする。
 注文していた職場用のシャチハタの判子が届いた。これはストラップがつけられるやつだ。差し色が欲しくて、あえてポップなピンクの判子を買った。前まで無印良品のアルミのミニマルな判子を使っていたが、ストラップがなくて不便だった。新しいシャチハタには100均で伸びるストラップを見つけて装着した。署名のうえ判子が必要な書類はこのご時世どっちかに統一してほしい。
 スマートリモコンを購入して設定した。起床したい時刻の1時間前に、自動的に暖房が発動するように設定した。明け方も寒くなくて、有意に寝起きがスッキリしている気がする。なお帰宅前に遠隔操作で部屋を温めておくことも可能である。
 世の中は便利になったと同時に複雑になりすぎて、でも人々の教養はたかだか横ばいだから複雑さに順応できてる人間の割合は減っている気がする。財布がくしゃくしゃになったレシートで膨れ上がっており、ポイントに踊らされている人間の家計予後は不良であろう。余談だが実店舗の利点ってその場で手に入ることにあるから、在庫ないので取り寄せましょうか?と言われても、じゃあ通販で頼みますとなることの方が多い。

 可愛く見える人間を好きになるのではなく、好きになった人間が可愛く見えるだけなのだと思う。たとえ自分の立場が悪くなろうと、正義を貫いていたい。自分が否と思っていても、肯定した方が自分にとって益があるという場面には、生きていればいくらでも遭遇する。でも自分自身もそうなんだけれども、やりたくないことをやりたくないと言い、やりたいことをやりたいと言うようなとにかく自分に正直な人に惹かれる。誰かの言いなりになっている人生は楽かもしれないが、楽しいか?と疑問に思う。挙動とか、醸す雰囲気とか、心の間合いみたいな、一見ではわかりにくいアイコンに関心がある。