帰郷について

 早い(?)けれどもそろそろ帰郷しようかな〜と前向きに思うようになってきた。生まれ育ちは九州の田舎で、進学を機にこちらへ引っ越してきた。遠いところの出身なので、先々ではよく、将来的には地元に帰るのかを尋ねられることが多かった。いつも分からないと答えていた。いつかは帰るんだろうな、とはぼんやり思っていたが、今ではないかな、とぼんやり思っていた。

 こちらの住みごごちは良い方だと思う。こちらでは楽しいこともあったし、楽しくないこともあった。しかし、こちらでないとできない何かはなくなってきたように思う。ここにはいつでも切り離せる程度の人間関係しかない。

 やる気の問題もあって、まあ十分に満喫したと言えるくらい、何か行動したわけでもどこかへ行ったわけでもない。昔はコミケに行ったり、ただただ目新しくてきらびやかに映る都内を散策したり、誰も知らないだろう行きつけのお店を開拓したりするのがとても楽しかった。今はそういう気持ちから心が卒業しつつあるなと思う。

 どこでも生きていけるかな、という心持ちになったのだと思う。どこでも生きていけるのに、縁もゆかりもない土地に生活基盤を築いたり、骨を埋めたりする必要はなかろう。

 よく通ったお店を訪ねられなくなるのは残念だが、どうしても欲しいものはオンラインで手に入る。いまのところ日々やりたいことといえば、本を読んで、十分ではないけど少なすぎないお金を得て穏やかに暮らすことぐらいなものだ。アノニマスな服装を好むように、これからはなるべく匿名性の高い生活へシフトしていけたらと思う。このところ年に数回、地元に帰っていた。これからは年に数回、外に遠出をする感じで良くはなかろうか。

 もともと何か強い目的があって地元を出たわけではなかった。というのもただ地元を出たくて、地元を出ただけであった。出る先はどこでも良かった。いまは出たい執着が醒めた感じがあり、未練らしい未練は残っていない。こちらは外様の自分にとってひとときを"遊ぶ"ところであれど、"暮らす"ところではなかったらしいと思うと、憑物が落ちたような感じがする。

 タイミングとしてはやや間が悪い。というのも4月からの向こう2年は、初期研修先が変えられないので。後期研修を地元でやる選択肢があるかもしれない。2年後にこの記事を見返した自分は、どういう方向に進んでいるのだろうか。