空いた両手がふさがらない

カフェインで目を醒まし、アルコールで眠る

パン屋

 最近、徒歩1分ほどの近所にいい感じのパン屋を見つけた。ここに住み始めて3年ほどになるが、こんな店があるとは思いもよらなかった。近頃、朝はコーヒーだけ飲んで何も食べない生活が続いていたので、まさにちょうどいいところにあった。

 もっぱら水土の開店と同時の9時過ぎに訪れてまとめ買いするようにしている。開店と同時に買ったパンはできたてなのだろうか、持ち帰って食べてみてもまだほんのりと温かい。店に着くと、大抵4,5人の先客がいるが、店は4,5人入るといっぱいになるくらいのスペースしかない。対面には木の縁にガラスが嵌め込まれた大きなショーケースが設えてあって、所狭しとパンが並んでおり、ついでに有機野菜もおいてある。買うときは、欲しいものを注文すると店員が紙袋に詰めてくれる方式だ。パンの種類としては菓子パンの類はなくて、プレーンなパンが10種ほどに日替わりの種が練り込まれたパンが並んでいる。

 パンにはドイツ語の名前がついているだけあって、すべてライ麦が練り込まれた茶褐色のパンだ。皮はカリッと歯ごたえがあるけれど中はコシを感じさせるもちもち加減で、麦の良い風味がする。どれも美味しいけれど、特にレーズンパンが気に入っている。こればかり食べているとコンビニやスーパーのでは満足できなくなりそう、と思うくらいの衝撃を受けた。

 素材と手間にこだわりを感じさせる店なので値段もさぞ高いのかと思いきや、プレーンなパンで100円、変わり種でも高々300円、注文を受けてから作り始めるサンドイッチはちょっと高くて600円からで、毎日食べられる良心的な価格だ。末永く通いたい。